2024.9.16
子どもの食事に関する悩みで多くの親が直面するのが「好き嫌い」です。食事を残したり、食べてくれなかったりすると、心配になってしまう親御さんは少なくありません。
ただし、幼児期における偏食は、成長の過程に自然なものです。そのため、無理に改善させようとすることは、成長を妨げる要因となるおそれがあります。子どもとの食事を楽しむなかで、好き嫌いに寄り添っていくことが大切です。
本記事では、幼児の好き嫌いが生まれる原因やその対策、さらに適切な対応方法について詳しく解説します。
個人差はありますが、好き嫌いは離乳食から幼児食に切り替わる1歳半〜2歳ごろに始まる傾向にあります。離乳期にはさまざまな味を受け入れていたものの、幼児期になると甘味・苦味・塩味・酸味などを区別できるようになり、好みがはっきりしてきます。好き嫌いが出てくる主な理由として、以下のような理由が考えられます。
人間の舌には「味蕾(みらい)」という味覚の感覚器があり、この味蕾によって甘味・苦味・塩味・酸味などを感じるようになっています。この味蕾は年齢を重ねるとともに減少していき、幼児の口の中には約10,000個、成人では約7,000個、高齢者になると約3,000個程度に減少するとされています。
この味蕾の多さから子どもの味覚は大人より敏感となり、苦味や酸味といった味も大人より強く感じてしまいます。そのため、大人であれば問題なく食べられるものであっても、子どもには「おいしくない」と感じやすいのです。
好き嫌いは、人間が本来持っている危機管理能力によっても引き起こされます。先ほども触れたように、子どもは苦味や酸味を強く感じるため、これらの味を「危険な食べ物」と認識してしまい、自分にとって害があるものを避けようとする本能が働きます。
いろいろな食材を食べる経験を通して、成長とともに味に対する許容範囲も広がっていき、少しずつ食べられるものも増えていきます。そのため、焦って無理に食べさせようとする必要はまったくないので注意しましょう。
嫌な経験が食べ物に対する好き嫌いの原因となることもあります。具体例としては、以下のようなケースがあります。
このように味が原因ではなく、食べたときの経験が原因となって発生してしまいます。そのような辛い経験が続いてしまうと、食事そのものに対して否定的な感情を抱いてしまう可能性があるため、注意が必要です。
好き嫌いがあるのは自然なことですが、栄養バランスを考えて幅広く食べてほしいと願う親は多いでしょう。しかし、子どもの味覚は発達途中のため、すぐに克服することは難しいでしょう。
無理に好き嫌いを直そうとするのではなく、子どもにあわせて適切な対処をおこなうことが必要となります。ここからは対処法を5つ解説します。
それぞれ詳しく解説します。
一番大切にして欲しいのが、無理に食べさせないことです。
無理強いすることで、さらに嫌いになったり、大人になっても嫌いなままになってしまう可能性があります。また、その嫌な経験がきっかけで、食事自体に嫌悪感を抱いてしまうかもしれません。
成長とともに味に対する許容範囲も広がっていき、少しずつ食べられるものも増えていきます。まだ成長段階だということを理解して、気長に向き合っていくことが大切です。
親子で同じものを一緒に食べたり、両親が楽しそうに食事をしている様子を見せることで、子どもも「自分も食べてみようかな?」と興味を持つことがあります。また、家族でコミュニケーションをとりながら食事をすることは、子どもからすると安心につながります。その安心感が好き嫌いを減らすきっかけになるかもしれません。
先ほどの「家族みんなでご飯を食べる」にもつながるかもしれませんが、食事をするときは楽しく食べることを優先しましょう。
できるだけ家族全員で食卓を囲み、笑顔で会話を楽しみながら食事をするように心がけましょう。「みんなで食べると美味しいね」「ちゃんと食べれてえらいね」など言葉かけをするのも効果的です。楽しくご飯を食べられる環境を作ることで、嫌いだと言ったことを忘れて食べてくれるようなケースもあります。
「栄養があるから」と無理に食べさせるのではなく、子どもが好きな調味料で味付けしてみたり、いままで焼いていたものを蒸して調理してみたりなど、工夫をして食卓に出してみましょう。調理法を変えることで、「これならちょっと食べてみたいかも…」と感じるかもしれません。
見た目や盛り付けに工夫するのもとても効果的です。
たとえば、野菜を星やハートの形に切ったり、キャラ弁のように盛り付けをしたりするだけで、嫌いだった食べ物でも「食べてみたい」と思わせることがあります。特に幼児期はアニメや絵本にも興味を持ちやすいので、好きなキャラクターに関するものはとても効果的でしょう。「興味を持てるように工夫してあげる」という意識を持って、見た目や盛り付けに工夫してあげてください。
好き嫌いを改善させたいという気持ちは大切ですが、両親の個人的な感情だけで無理強いさせてしまうのは避けましょう。子どもの心を大切にしたうえで向き合っていくことが重要です。ここからは、好き嫌いに対する向き合い方のポイントを3つ紹介します。
それぞれ詳しく解説します。
好き嫌いは自我の芽生えでもあり、成長の証です。また、味覚の感覚器が成長しているということでもあるので、悪いものと考えずに成長の1つだと理解しましょう。
自我が芽生えてくると、気分によっては全く食べなかったり、好きなものだけを選んで食べたりすることがあります。この時期は親にとっては少々大変な時期かもしれません。しかし、気持ちを楽にして向き合うようにしましょう。
「おいしいから食べてみて」といった言葉がけをする親もいますが、子どもは必ずしもその食べ物をおいしいと感じていないかもしれません。まずは、嫌い・苦手と感じている理由を知ってあげることが重要です。
嫌い・苦手と感じている理由を理解できれば、味付けや盛り付け方で解決できるケースもあります。また、嫌いだと言っていたものを時間をおいて出してみると、嫌いだと言ったことを忘れて食べてくれるようなケースも少なくありません。否定するのではなく、嫌い・苦手と感じている理由を理解して適切な対処をおこないましょう。
子どもの味覚は敏感ですが、まだまだ発達途中です。味や食感に馴染みがない食べ物には、慣れるまで時間がかかります。ただ、食卓に一切出さないのもよくありません。少しだけでもよいので食卓に出し続け、嫌い・苦手と感じている理由を探ってみましょう。理由さえわかれば、味付けや盛り付け方を変えることで食べるきっかけになるかもしれません。
子どもの関心や興味を理解し、歩み寄ることが大切です。
本記事では、幼児が好き嫌いを持つ理由やその対処法、好き嫌いに対する向き合い方のポイントについて解説しました。
好き嫌いは成長過程の自然な一部です。無理に食べさせたり叱ったりすることは、食事に対する否定的な感情を引き起こす可能性があります。
あまり深刻に考えすぎず長期的に向き合い、まずは子どもとの食事を楽しむようにしましょう。そのなかで好き嫌いに寄り添っていくことが大切です。
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子どもの学習に関して不安であれば、幼児教室を活用するのがおすすめです。幼児教室は、子ども一人ひとりにあった学習や学習習慣づくりのサポートをおこなってくれます。
ただ学習をおこなうだけでは子どもたちも「もっと遊びたい」と感じてしまうかもしれませんが、幼児教室であれば子どもたちが楽しみながら学べる環境を整えています。そのため、楽しみながら学びの土台を作ることが可能です。
また、小学校受験を検討している家庭には、小学校受験を見据えた学習サポートを受けられます。受験合格につなげるための計画立案から、子どもや両親の悩み解決などもおこなってくれるので、安心して学ばせていけるでしょう。
「幼児期のうちから学びの習慣を身につけさせたい」とお考えの両親は、ぜひ幼児教室を活用してください。